二松啓紀さんの新刊『移民たちの「満州」』

「関東軍は、表向き徹底抗戦を唱えつつ、8月10日頃には疎開のための専用列車を仕立て、関東軍や満鉄社員の家族を対象とした避難を始めている。続いて11日、関東軍は官吏家族の避難を指示する一方で、『一般市民は準備に手間どり発車に間に合わぬので、輸送力の関係上集結の早い軍人軍属の家族から先に輸送した』という。もはや軍ではなかった。弁明の余地なき日本史上最大の汚点ではないかと筆者は思う」

戦後70年が過ぎた今、満洲を理解するための良書です。


シリーズ・巻次 平凡社新書  782
出版年月    2015/07
ISBN    9784582857825


満州事変以降、政府の大陸政策、昭和恐慌下における農村更生策の一環として遂行された満州移民政策。一九三二年から敗戦直前に至るまで送出は続き、全国の自治体から二七万人(敗戦時)が大陸へ渡った。後に中国残留日本人やシベリア抑留といった問題を引き起こす満州移民とはいったい何だったのか。
満蒙開拓団の体験者から託された資料を軸に描かれる“等身大の満州”。