WEB集英社文庫にて、『沖縄コンフィデンシャル』第2部の連載がスタートしました。
声が上がったのは、店の奥からだった。
女性の悲鳴だ。
反町雄太は反射的に立ち上がり、持っていたビールジョッキをテーブルに置くと奥に走った。その後に天久ノエルと赤堀寛徳が続く。
ケネス・イームスが食べかけたハンバーガーを皿に戻すと、三人の後を追ってきた。
トイレに通じる通路は悲鳴を聞きつけた客で溢れている。
午後八時すぎ、那覇市、泊港近くにあるレストラン〈ウエイブ〉は、百名近く入る客席がほぼ満席だった。キャンプ・キンザーも近く、地元の若者に人気のある店で若いアメリカ人も多い。普段は陽気な英語の会話がいたるところから聞こえる。
反町は人混みをかき分けて、最前列に出た。
トイレのドアが開き、床に男があおむけに倒れている。女がしゃがみ込んで介抱しているが様子がおかしい。男の胸に両手を当てて自身は揺れるように身体を揺すっているだけだ。目も視点が定まらず、泳いでいる。
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